赤峰さんの講演会もいよいよ2週間後にせまり、活動もますます活発になってバタバタなんだけど、この週末は長野県有機農業研究会主催のイベントに出席した。

主催団体名を聞くと難しそうな気がしちゃうんだけど、

「美味しく食べて、楽しく生きる」

という、シンプルかつえみぃが大好きなテーマだったんで、すごく楽しみにしてた。
イベントの詳細は以下のとおり。

27日午後1時~  台所のカリスマ「魚柄仁之助」さんによる講演
  午後3時半~ ティータイム
  午後18時~  ディナー

28日午前8時半~ 小椋さんの自給自足生活の紹介
         軽井沢町の斉土さんによる農作業と食育の紹介

諸所の事情によりディナーは欠席したけど、とっても良いお話をたくさん聞いたので、紹介したいと思う。

◇魚柄さんの講演
魚柄仁之助(うおつか・じんのすけ)さんってご存知?
食生活研究家であり、生活改善実践家、酒の探し人、アーティストでもある人だ。

えみぃは仲良しの美容師さんの進めで『知恵のある 和の家 和の食 和の暮らし』っていう本を少し見たことがある程度。物静かで、ダンディーなおじ様を想像していた。

席に着いて待っていたら、長髪&赤いチェックの綿のシャツ&Gパンの小柄な人が、ギターを持って現れた。えっ、あの人が魚柄さん?えみぃの想像とはずいぶんちがっていた。

話が始まると、ちょっと九州なまりの早口で、これまた想像と違う。
マシンガンのように繰り出される話題はどれも興味深くて、一生懸命聴いてメモを取った。
以下にちょいと要約を書いてみる。

◇食の安全とは
今はBSEだとか、農薬がついてる、ついてないとか、鳥インフルエンザだとかが騒がれていて、そういう不安がない食べ物が安全と言われているけど、そんなことより大事なのは「自給できるか」ということだ。
現在の日本の穀物自給率は、家畜の飼料を入れると30%以下。多くを輸入に頼っている。
頼っている国の1つにアメリカがあるけれど、そこではトンでもないことが起こっている。
一つは、世界の7割を算出するトウモロコシを使ってバイオアルコールを作る計画。地球温暖化防止のため策定された京都議定書では、生物由来となる燃料は二酸化炭素の排出量として換算されないため、世界中が注目しているからだ。アメリカのトウモロコシは、世界中の人が食べている。それが全部アルコールになってしまったら、貧しい国は食べられなくなってしまうし、日本でも家畜の飼料が足りなくなったり、影響が出そうだ。
もう一つは、砂漠化が進んで穀物が取れなくなっていること。中央の穀倉地帯では、スプリンクラーで地下水を汲み上げ続けた結果、枯渇しかかっているという。10年ほど前の研究結果で、汲み上げを中止して150年待たないと元に戻らないということがわかったんだけど、それからもずっと使い続けちゃったんで、今現在は計測不能の状態にまで陥っているらしい。今テレビでもさかんにアメリカや中国の砂漠化による不作が報じられている(らしい)けど、かなりやばい状態らしい。
ということで、日本は穀物を自給できるように頑張らないと、飢え死にしちゃうかもしれないっていうところまで来ている。
だから、今問わなければいけない「食の安全」は、BSEだとか、農薬だとか、鳥インフルエンザじゃなくて、「自給できるか」なのだ!

◇水が豊かなのに水を大量に輸入する国、日本
穀物を1kg作るには2,500~3,000リットルの水が必要となる。
日本はたくさんの穀物を輸入しているので、量の水を買っているということになる。
世界的に見てもかなり水が豊富な国なのに、さらに水を集めている現実。
おかしいよね。

◇著書「台所リストラ術」は経営術なのだ
1994年に魚柄さんが出版した「台所リストラ術」は、同じ労力&調理時間でいかにたくさんのお料理を作るか、栄養価は高いが摂りずらい大豆、小魚、海草などをいかに上手に料理に取り入れるかなどのコツをまとめた本。
講演会でも、ホワイトボードを使って奥義を披露してた。

・一釜弁当
ジャーにお米をセットして、大豆とひじきをぱらぱらっと入れて、ジャーの内側にカネのザルをひっかけて、そこに野菜や卵や鶏肉をのせて、普通に炊飯。
お米を炊くエネルギーだけで、ごはんとおかずがいっぺんにできて、お弁当もできちゃうよってことだった。やってみよう!

・調味料や食材は使いやすく保管
豆、ひじきやこんぶなどの乾物、ごまなどは、とかくビニール袋の端を輪ゴムでくるくるまとめて、棚の奥に行ってしまいがち。いざ使おうと思って手を伸ばしても、くるくるがめんどうで辞めてしまうってことが多い。(えみぃにも覚えがある)
そこで、そういうものはガラスのビンに入れて、調理場所に並べておく。
手が出しやすくなると同時に、摂取量の目安にもなる。
1週間の摂取量を入れて、使い切るようにすると良い。

これらの奥義は料理だけじゃなくて、商売、経営にも通じる技で、ご本人は経営術を解いた本のつもりだそうだ。

◇売れる商品を作れ!
有機農研主催ということもあって、有機野菜をいかに販売するかというお話も出た。
今は「おいしい有機野菜です」と言うだけでは売れない時代。いかにして商品に付加価値をつけるか、よりおいしくするか、消費者においしさを気づいてもらえるかということについて、いくつか事例を挙げて説明された。
その中で紹介された「よっちゃんなんばん」が後のティータイムで出てきたんだけど、すんごくおいしくて、思わず1本買ってしまった。
と話がダッフンしたけど、あちこちで頑張っている人達のアイデアを聞いて、自分の商売でも使えそーと思ったりした。

◇美味しく食べて、楽しく生きる
「私は体に悪いものは食べない」とか「子供には良い物だけを食べさせよう」とか考えすぎるのは、よくない。
また、いつも違うものを食べなければいけないという考えもいらない。
時にはジャンクフードを食べたり、時には思い切りたくさんお肉を食べたりしても良い。気楽に楽しく食べよう。
ただし、穀物中心の食生活にするってことが大事。
前出の話のように、みんながお肉ばっかり食べていると、穀物をものすごく消費してしまう。人類がみんなで生きていくための極意。
毎日同じようなものや粗食を食べていると、たまのお肉がものすごいご馳走に思えて楽しい、んだとか。この辺は耳が痛かった。

とまぁ、他にもいろいろ書きたいんだけど、時間がいくらあっても足りないんでこの辺にしとく。
文字にすると堅苦しい内容に思えることもあるけど、小気味良いテンポで笑いを取りながら、聴衆と対話しながらで、2時間がアッチューマで楽しかった。
そして、心に残ることがたくさんあった。
時々つまびかれるギターの音色も素敵だったわー。
いっぺんにファンになってしまった!→単純なえみぃ

その後、実行委員の皆さんが作ってくれたお茶とおやつでティータイム。
これも素敵だったんで紹介したいんだけど、他にもいっぱい書きたいことがあるんで、そのうちに。。。



魚柄さんについて知りたい方は、ホームページを見てみてね。
よっちゃんなんばんのことも書いてあるよ。まじで、おいしい。
昨日今日で1本終わりそう。。。

魚柄仁ノ助の食文化情報局